2018年12月14日金曜日

危険運転致死傷罪 「煽り運転」にも適用

危険運転致死傷罪は、飲酒や薬物などの影響による事故、車の通行を妨害する目的で割り込んだり接近したりする「重大な危険を生じさせる速度で運転する行為」に適用されます。


2017年6月、神奈川県大井町の東名高速道路で、あおり運転で停車させられた家族4人が死傷した事故で横浜地裁(深沢茂之裁判長)は2018年12月14日、「妨害運転と事故には因果関係がある」と判断し、危険運転致死傷罪の成立を認めました。石橋和歩被告(26)に懲役18年(求刑23年)を言い渡し、法が規定していない停車後の事故でも同罪を適用できると結論づけました。


この危険運転致死傷罪の適用を巡って度々論争となります。


というのも、明確にその行為が故意であり、特に危険性が高くなければ適用されないからです。



つまり、飲酒や雑な運転を行って事故を起こし、結果死傷者を出しても危険運転致死傷罪が適用されない場合があるのです。


2011年4月18日の鹿沼市クレーン車暴走事故は、てんかん患者の男がクレーン車を運転中、てんかんの発作が起きたのが原因で発生しました。このクレーン車は児童の列に突っ込み、6人が死亡しました。


これほどの事件でありながら、危険運転致死傷罪は適用されず、自動車運転過失致死傷罪が適用されました。


危険運転致死傷罪の対象は「故意」による無謀運転であるので、治療を怠っていたのを「故意」と認定するかが問題となりました。犯人の男が同様の案件で交通事故を繰り返していたことも重要視されましたが、最終的に検察側は「故意」の立証を断念し、上限7年の自動車運転過失致死罪(2014年5月20日より過失運転致死傷罪)の適用に留まったのです。(危険運転致死傷罪の上限は懲役20年)


また、2012年4月に京都府亀岡市で無免許運転の自動車が集団登校の列に突っ込み、生徒と保護者が死傷した事故でも、無免許であったものの少年が無免許運転を繰り返しており、事故の直前も無事故で長時間運転していたことから「運転技術はある」と判断し、自動車運転過失致死傷罪で起訴を行いました



そんな中、煽り運転で法が規定していない停車後の事故でも同罪を適用できるという判例は今後、こういった事故への対応を大いに変革させるものだと思います。


そして、こうした悲惨な事故の抑止にも繋がってほしいものです。


最後に、何より大事なのは運転手自身が事故を起こさぬよう努力することです。







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